親知らずは抜くべき？抜かなくてもいい？判断基準と抜歯の手順を解説
親知らずは、一番奥に位置するため、磨きにくく、虫歯になりやすいといった問題をはらんでいます。近年では、虫歯になる前でも予防的に抜歯するケースも増えています。
しかし、歯を抜くのは痛そうなうえ、勇気が必要ですよね。そこで、親知らずを抜くべきか迷っている方のために、抜いたほうがよいケースと抜かなくてもよいケースについて解説します。抜歯をする場合の流れについても紹介するので参考にしてください。
親知らずとは
親知らずは、智歯・智恵歯・第3大臼歯ともよばれており、前歯から数えて8番目に位置する一番奥の歯です。通常、10代後半から20代前半に生えてくることが多く、人によっては生えてこない場合もあります。
乳歯が抜けたあとに永久歯が生えてくるのが一般的ですが、乳歯を親に見立てた場合、親（乳歯）がない場所から、いきなり生えてくることから「親知らず」とされています。
親知らずを抜いたほうがよいケース
親知らずは、虫歯や歯周病などトラブルの原因になるケースも少なくありません。
親知らずを抜いたほうがよいとしたら、以下のような理由からです。
磨きにくい
歯の一番奥に位置するため、歯ブラシが十分に届かず、歯垢や歯石が溜まりやすいといった問題があります。結果的に虫歯や歯周病になることが多いので、トラブルが起きる前に予防的に抜くケースも増えています。
隣の歯を横から押している
斜めに生えてきた場合、隣の歯を横方向に押してしまいます。あごが小さい場合は、大きな親知らずがまっすぐ生えるだけのスペースがなく、斜めに生えてきがちです。ほかの歯を押しながら生えてくると、歯並びに悪影響をおよぼすため、生えてきた時点で抜歯します。
虫歯や歯周病になっている
丁寧に磨いているつもりでも、歯ブラシが奥まで届かず、虫歯や歯周病になりやすいのが親知らずです。治療後も虫歯や歯周病のリスクがなくなるわけではありません。今後のメンテナンスを考慮して、治療の一環として抜歯を選択します。
海外へ行く
歯科治療をすぐに受けられない環境下の海外へ向かう場合は、歯の治療を終えていくことをおすすめします。もし海外で親知らずが虫歯になってしまうと、簡単に治療も抜歯もできません。予防的な対策として抜歯という選択があります。
親知らずを抜かなくてもよいケース
「親知らずは不要な歯だから抜くべき？」と不安になっている方も少なくありません。しかし次のようなケースは、抜かずに残しておきます。
きれいに生えていて歯磨きに問題がない
親知らずは虫歯のリスクが高いため、抜歯をすすめられます。しかしまっすぐ生え、ほかの歯や歯並びに影響しない、歯磨きにも問題がなく虫歯や歯周病のリスクが低いようであれば、抜歯の必要はありません。
ブリッジの支台歯にできる
親知らずの横の歯が欠損した場合、親知らずが支台となりブリッジを装着できます。このような場合は、抜歯をしません。
親知らずを抜くおすすめ時期
親知らずを抜くタイミングは、トラブルが起きてからとトラブルが起きる前の2つがあります。トラブルが起きる前に予防的に抜歯する場合、おすすめの時期は10代後半から20代半ばまでです。その理由は以下のとおりです。
あごが成長する前に抜く
あごの骨が成長しきる前に抜歯すると、負担が少なくスムーズです。一般的に、あごの骨は20代半ばまで成長します。あご骨や歯に柔軟性があるため、抜歯の負担も少なく済みます。年齢を重ねてから抜くと、若いときに比べ回復にも時間がかかるでしょう。
根っこが完成する前に抜く
親知らずの根っこが完成するまでに抜歯すると、あごの骨に定着する前のため、抜歯の負担が軽く済みます。しっかり根っこが成長し、あごの骨に定着してからの抜歯だと、大がかりな施術になり、本人への身体的負担も大きくなるでしょう。
若くて回復力があるうちに抜く
10～20代は回復力が高いため、抜歯後の傷も早くふさがります。一方、30～40代になると、抜歯部位が歯周病菌に侵されているケースも多く、穴がふさがりにくい場合も。それなりに体に負担がかかるため、若くて回復力があるうちの抜歯がおすすめです。
抜歯の流れ
親知らずのような大きな歯を抜くのは不安ですよね。
それぞれの口腔内の状況によって治療の流れは異なりますが、一般的な抜歯の流れを紹介しましょう。
状況の確認
レントゲン撮影で状態を確認したのち、親知らずや歯茎の状態も診察いたします。
・抜歯すべきか？
・歯茎の状況は？
・あごの骨や神経との距離は？
総合的に判断して抜歯を決定します。
もし、当院で対応が困難な場合は、大学病院へ紹介させていただきます。
前準備
親知らず周辺の歯茎に炎症がある場合は、治療を優先します。歯茎の状態が悪いと、麻酔が効きにくい、止血しにくい、回復まで時間がかかるなどの問題が生じやすいためです。口腔内を掃除し、炎症を抑える処置をおこないます。
麻酔
麻酔で痛みや出血を抑えます。最初に表面麻酔をし、痛みを和らげたのち、歯茎に注射で麻酔。表面麻酔のおかげで、針が刺さる痛みを最小限に抑えられます。
抜歯
親知らずが歯茎に埋まっている場合は、切開し親知らずを露出させます。あごの骨に埋まっている場合は、骨を削除し、歯を骨に固定している歯根膜を切断。専用の器具を使用して、慎重に抜きます。力をかけずに、適切な角度で引き抜くようにします。
止血
親知らずを抜いた後は、歯茎を縫合します。ガーゼを30分ほど噛んで圧迫止血します。
経過観察
抜歯した翌日か翌々日に消毒のために来院していただきます。状態を確認し、問題なければ1週間後に抜糸します。
親知らずを抜くべきか迷った場合は当院へ相談を
親知らずは、虫歯や歯周病や歯並びへの悪影響などトラブルが起きやすい歯です。気になることがあれば、早めにご相談ください。
予防的に10～20代で抜歯される方もいらっしゃいますでしょう。大学受験や就職活動の時期を避けて、治療に取り組むのがおすすめです。親知らずで悩んでいる方は、当院にてカウンセリングいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
