「歯が痛い」その原因は?虫歯以外の原因も!
歯が痛くなると「虫歯かな?」と不安になりますよね。歯は、自然に治る機能がなく、放置すると症状が進行してしまいます。もし虫歯であれば、すぐに治療しなくてはいけません。
ただ、歯の痛みの原因は、虫歯以外にもさまざま存在します。そのなかには、虫歯よりも重篤な病気が潜んでいるケースもあるため、注意が必要です。
感じている歯痛の原因は一体何かについて紹介しましょう。
歯の痛みの原因
歯の痛みは、歯そのもの以外にも周囲の歯茎が原因の場合があります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
虫歯(う蝕)
虫歯は、ミュータンス菌などの原因菌が出す酸によって、歯のエナメル質が溶け出す状態を指します。進行していくと、象牙質が溶け、歯に穴があきます。冷たいものや甘いものを食べると刺激を感じ、しみることも。最終的には、神経を刺激し、強い痛みや腫れ、歯肉の炎症につながります。
知覚過敏
知覚過敏は、歯を覆っているエナメル質がすり減ったり溶けだしたりして、象牙質が露出した状態です。虫歯や炎症がないにもかかわらず、刺激を感じてしみるような痛みを一時的に感じます。原因は、歯ぎしりや強すぎるブラッシングによるエナメル質の摩耗、炭酸飲料や酸っぱい食べ物を長時間摂取することによるエナメル質の消失、加齢や歯周病による歯肉の後退などです。
歯肉炎
歯肉炎は、歯茎が炎症を起こした状態です。おもに歯と歯茎の間についた歯垢が原因で、増殖した菌が歯肉炎を引き起こします。歯茎が腫れているだけで、比較的軽度な炎症ですが、進行すると歯周炎に発展します。
歯周炎
歯周炎は、歯肉炎が発展した状態で、進行するとあごの骨にまで影響をおよぼします。最初は、4~5mmだった歯周ポケットが深まっていき、歯を支える骨や組織が破壊されていきます。一般的には「歯周ポケット調査」によって進行度合いを把握します。
歯髄炎
歯髄炎は、歯の中心部にある神経と血管からなる部分に炎症が生じる状態です。冷たいものや温かいものがしみたり、ずきずき痛んだりします。歯髄炎の原因で最も多いのは虫歯です。それ以外の原因としては、歯の外傷(転んで折れた)などがあります。
歯根膜炎
歯根膜とは、歯の根元周辺の組織で、噛んだときの圧力や衝撃を分散する働きがあります。免疫細胞が存在するため細菌感染を防いだり、歯根を歯槽骨にしっかり固定したりする重要な膜です。炎症を起こすと、歯が浮いた感じがしたり、痛みを感じたりします。歯の神経の治療後、虫歯からの感染、歯周病からの炎症など、原因はさまざまです。放置すると、発熱や頭痛、歯の根っこに膿がたまる、歯茎が腫れるなどの症状が起こります。
咬合性外傷
咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)は、食いしばりや歯ぎしりなどが原因で、歯周支持組織の負担能力を超え、深部歯周組織が損傷した状態です。セメント質や歯根膜、歯槽骨などが傷つくだけでなく、進行すれば歯の移動や顎関節の変形などにもつながります。
ひび割れ
歯の頭部が折れた状態を歯冠破折といいます。虫歯や外傷、歯ぎしりなどが原因です。歯の神経に達していなければ、詰めものや被せもので再建可能です。歯の根っこが割れた状態を歯根破折といいます。歯の神経を含めて破損している場合が多いため、抜歯が必要となる可能性も。放置すると、感染が進行し、周囲の歯や歯茎にも影響があります。
歯や歯茎以外が原因の痛み
歯や歯茎以外が原因の痛みには、神経や筋肉、ほかの病気などさまざまな要因が存在します。
代表的な原因は以下です。
| 筋・筋膜性歯痛 | 食物を噛むときに使う筋肉や首の筋肉、 さらに筋肉を覆う筋膜が原因で起こる関連痛 |
|---|---|
| 神経障害性歯痛 | 抹消感覚神経枝の損傷によって生じる痛み |
| 神経血管性歯痛 | 片頭痛や群発性頭痛による症状のひとつ |
| 上顎洞性歯痛 | 上顎洞は、頬骨の奥、歯の横、目の下あたりに広がる空洞のこと 鼻が原因で炎症を起こし、歯が痛くなることがある |
| 心臓疾患性歯痛 | 虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)が原因の関連痛 |
| 気圧性歯痛 | 気圧の変化によって引き起こされる歯の痛み 歯の内部にある歯髄腔での気圧調整が追いつかず、 内部の空気が膨張して近くの神経が圧迫されて痛みを感じる |
| 精神疾患または 心理社会的要因 |
気分の落ち込みやうつ状態から歯痛が生じる 痛みが感情的な要因と関連していることも |
上記のような歯痛は、原因の特定が難しいのが特徴です。
しかし、放置していると重篤な疾患につながるものもあるため、歯科医院での早期診察をおすすめします。
歯の痛みは放置しないで!歯科検診で原因究明を
歯の痛みは、虫歯や歯周病などの疾患だけでなく、神経や気圧が原因でも生じます。歯や歯茎以外の原因の特定は難しく、精密検査が必要な場合もあるでしょう。だからといって検診が面倒だと放置していると、症状や病状が進行してしまう恐れも十分考えられます。歯の痛みを感じた時は、すぐにご相談ください。