すきっ歯は、歯と歯の間にすき間がある状態です。口を開けたり、笑顔を見せたりすると目立つため、気にしている方も少なくありません。また、空気が漏れやすいため、発音にも影響があります。

この記事では、すきっ歯の原因や治療のメリットについて解説します。「すきっ歯が気になるけれど、このままでいいかな…」「治療するほうがいいのかな」と迷っている方は参考にしてください。

すきっ歯は、歯科用語で「空隙歯列弓（くうげきしれつきゅう）」といい、歯と歯の間が開いている状態のことを指します。とくに前歯の間に広くすき間がある状態を「正中離開（せいちゅうりかい）」とよび、不正咬合のひとつと考えられています。発音や食事、生活の質にも影響を及ぼすことがあるため、すき間があるだけと軽く見ないようにしましょう。

上唇小帯（じょうしんしょうたい）

上唇小帯とは、上唇の裏側にある、歯肉と唇を繋ぐひものこと。前歯の真ん中にあり、唇の裏から歯茎に向かって伸びています。上唇小帯が短かったり、厚かったりすると、歯間に隙間が生じやすくなり、すきっ歯の原因のひとつです。幼児のころに上唇小帯を切って、すきっ歯になるのを避けるといった考え方もあります。

矮小歯（わいしょうし）

矮小歯とは、小さすぎる歯のこと。遺伝的な要因や、乳歯の虫歯や外傷などが原因で起こると考えられています。顎のスペースに比べ、歯が小さすぎる場合は、すき間が空いてしまいます。

先天欠損（せんていけっそん）

生まれた時から歯の数が足りていない状態。歯科医院でレントゲン撮影をすることで判別可能です。遺伝的な要因や、乳歯の虫歯や外傷などが原因で起こると考えられています。歯の数が足りないために、顎のスペースが余り、すきっ歯となります。

顎と歯のバランスの悪さ

顎の骨が大きいのに対し、歯が小さい場合もすきっ歯になります。顎の骨が大きいと、歯が生えるスペースが十分にあるため、歯並びにはプラスですが、あまりにもスペースが余っている場合は、すきっ歯になってしまいます。ただ、乳歯のころのすきっ歯は、永久歯が生えるスペースが十分確保できるため好ましいと考えましょう。

口周りの癖

指しゃぶりの癖があると、前歯を前方向に押してしまい、歯並びに悪影響を及ぼします。すきっ歯になるだけでなく、出っ歯になる可能性もあるので注意が必要です。また、指のくわえ方によっては、舌の前歯が前に出てしまいます。

歯茎の状態悪化

歯周病などによって歯茎が下がってくると、歯と歯の間に隙間が生じやすくなります。歯周病が進行すると、歯茎や顎の骨を溶かし、細らせるため、すきっ歯になったと感じるでしょう。

見た目に自信が持てる

すきっ歯があると、笑顔が不自然になったり、口元が歪んで見えたりして、見た目に大きな影響を与えます。特に、前歯がすきっ歯な場合、人前で話したり笑顔になったりするのに抵抗を感じる方も少なくありません。コンプレックスを感じている方は、自分の笑顔に自信を持てるようになるでしょう。

発音しやすくなる

すきっ歯が原因で、正しく発音ができないことがあります。とくに前歯に大きなすき間がある場合、息を使って発音するサ行やタ行などの発音が難しいと感じる方が多いようです。すきっ歯を治療することで、発音が改善するでしょう。

虫歯や歯周病にかかりにくくなる

歯と歯の間に隙間があると、食べ物が溜まり、虫歯や歯周病になりやすくなります。すきっ歯を治療することで、清掃がしやすくなり、虫歯や歯周病予防に効果が期待できます。

全身の健康にもプラスになる

歯並びが悪いと、噛み合わせが悪くなり、顎関節に負担がかかったり、頭痛や肩こりの原因になったりすることがあります。すきっ歯を治療することで、噛み合わせを改善し、全身の健康にも良い影響を与えられるでしょう。

ワイヤー矯正

歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーを使って歯を少しずつ移動させていく方法です。最も一般的な矯正治療方法ですが、目立つというデメリットがあります。

インビザライン

透明なマウスピースを使って歯を矯正する方法です。ワイヤー矯正よりも目立たないため、審美性を重視したい方におすすめ。ただし、ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなることも多く、症例によっては適用できない場合があります。

マイオブレース矯正

マウスピースと筋機能訓練を組み合わせた矯正治療方法です。歯を抜かずに矯正できる場合があり、成長期の子供に適した治療方法といわれています。ただし、治療効果が現れるまでに時間がかかることも多く、症例によっては適用できない場合があります。